【時事】レオパレス債務超過解消へ
こんにちは。
Revd Advisory(レヴアドバイザリー)株式会社 代表の湯田平です。
いつもは財務に関する内容をお届けしている本ブログ。
今回はちょっと趣を変えて、時事問題を取り扱ってみたいと思います。
これまでの経緯を踏まえて見ていきます。
◼事の発端
レオパレスは以前よりサブリースをめぐる問題など多くのトラブルを抱えておりましたが、それを追っていたテレビ番組「ガイアの夜明け」により、2018年に新たな問題が発覚。それが施工不良です。
屋根裏の各部屋の仕切り「界壁(防火壁)」が取り付けられておらず、これをレオパレスが調査・改修することに。
またあわせて入居者の住み替えの費用を補償することとなります。
◼施工不良の余波
界壁(防火壁)の未設置は建築基準法違反。
入居者の命にも関わる事ですので、入居者がどんどんと流れ出て入居率が低下してしまいました。
悪評・酷評があふれ新しい入居者も見つからず、レオパレスの損益分岐となる入居率は80%と言われていますが、これを下回ることに。
さすがに倒産はないとされながらも株価は下落。
報道があった日からわずか5日間で500円台から200円台まで急落しました。
◼追い討ちをかけるコロナ禍
2019年10月までにほぼ全棟調査を終え、賃貸募集を拡大してきたことで少しずつ入居率が回復します。
下降を続けていた入居率も2020年1月には前月比+1.28%とようやくプラスに転じました。
というところで今回のコロナ禍。
改修工事が全体のまだ1割程度しか済んでいませんでしたが、工事をストップせざるを得ない状況に。
引越しシーズンである3〜4月でさらなる入居率回復を見込んでいたレオパレスの出鼻をくじくかたちとなりました。
◼レオパレスの業績
業績が傾き始めた2019年3月期は赤字でしたが、これは施工不良の発覚により建物の調査・改修、また入居者の住み替え費用が発生し、特別損失を計上したため。
まだ営業利益では黒字を出せていました。
ですが2020年3月期に入ると営業利益でも赤字を出すようになってしまいます。
つまり本業で赤字が出てきたという事。
以前の記事でも書きましたが、営業利益の赤字はやってはならないことです。
そしてつい先日、債務超過118億円というニュースが流れました。
もともと8月に予定していた決算発表が、決算業務担当者の希望退職により遅れが生じ9月30日に行われるという事態に。
このことだけでただならぬ状況ということがわかりますね。。
債務超過=倒産ではありません。
倒産するのは現預金がなくなるとき。
レオパレスは2020年3月時点で現預金600億円ほど、他にも土地や建物といった売却できる資産や有価証券が1,000億円ほどあると言われます。
こういった資産の売却を行っていけば、当面は延命できるでしょう。
しかし資産は有限です。問題解決し営業利益を出していかなければ、倒産も見えてきます。
◼アメリカ投資ファンドによる支援
そして昨日(9/30)、アメリカ投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」による支援が発表されました。
レオパレスは同ファンドの融資および出資により総額572億円もの資金を得、債務超過を解消する見通しです。
また今後は同ファンドの不動産分野のノウハウと資金を活かしながら経営再建を目指すとのことでした。
一時はどうなることかと思ったレオパレスでしたが、ファンドによる支援もあり経営再建への光が見えてきたのではないでしょうか。
ファンドによる支援もありましたが、現預金や固定資産などにも蓄えがあったので倒産まで至らずにすみました。
新型コロナの影響もあり、今回のレオパレスのようなことは人ごとではありません。
そんなときもキャッシュマネジメント出来ていれば倒産を回避する道も見えてきます。
他社の教訓を自社にも生かすことで、強い会社となっていきます。