上場の意義(3/3)
こんにちは。
Revd Advisory(レヴアドバイザリー)株式会社 代表の湯田平です。
年の瀬ですね。
クリスマスから急に正月へ向かうこの期間が、一年の中で一番忙しなく、しかし子供のようにワクワクする一週間ですね。
さて、前々回、前回と上場についてふれてきましたが、今回が最後。
今回は上場のデメリットについて学んでいきましょう。
1)莫大な上場コスト
上場におけるコストには、
- 上場の準備期間にかかるコスト
- 上場申請のためのコスト
- 上場を維持するコスト
この3つがかかってきます。ひとつひとつ見ていきましょう。
①上場の準備期間にかかるコスト
上場するために雇ったCFOやIPOコンサルタント、また監査法人・証券会社などに支払う費用です。
もちろん決められた額というものはないのですが、おおよそ見積もって総額5,000万円程度が必要となります。
②上場申請のためのコスト
上場審査料や新規上場料、そのほかにも登録免許税や印刷費用などがかかってきます。
特に新規上場料はどこの証券取引所で上場するかで金額が大きく変わってきます。
新規上場料
東証一部:1,500万円
東証二部:1,200万円
マザーズ:100万円
JASDAQ:600万円
またほかにも株式の公募・売出にかかる費用(株式数×公募価格×1/1000)などがあります。
③上場を維持するコスト
上場後にもそれを維持するためにコストがかかってきます。
年間上場料(時価総額や証券取引所に応じて変動)や新株発行などにかかわる費用、また株主総会の運営費用や、CFOやIPOコンサルタントの報酬も必要になる場合もあるでしょう。
2)上場準備期間の長さ
上記の中で上場の準備期間にかかるコストについて述べましたが、このコストはスケジュール通りに上場できた場合のコスト。
もし審査でつまずいて上場までの長引けば長引くほど、コストも大きくかかってきます。
そもそも上場には3年前後の準備期間が必要。
ただ単に準備期間が長いだけならいいのですが、その間に様々な資料をつくったりシステムを導入したりと多くの手間がかかってきます。
従業員に任せられる業務ではないので、経営者自らが先陣を切って動く必要があります。
3)方針決定の複雑化
これまで経営者が決めてすぐに処理できていた問題が、社内決議が必要になるなどプロセスが増えることにより、すぐに方針を定めることができにくくなります。
また株主の意向に沿った経営が求められるため、これまでのような独断的な経営ができなくなる可能性があります。
4)退任や買収リスク
自社にとって不利な株主に自社株を買われると、経営者から退任させられたり、最悪の場合は敵対的買収を行われたりなど経営者にとって不利益がでる可能性があります。
5)情報開示義務
会社にとって不都合な情報でも、上場することによって有価証券報告書や事業報告書等などで公に開示しなくてはなりません。
6)株主総会対策
株主総会をするための準備や運営といった手間もデメリットの一つ。
業績が好調のときはさほど問題ないかもしれませんが、不調になってくると様々な株主からバッシングを受けることも。
7)有名税
知名度が上がると反面、炎上などの風評被害にさらされる可能性が上がります。
上場してはいませんが、最近だとDHC会長の差別発言の影響でDHC商品の不買運動が発生しました。
これも有名でなければ「どこかの代表がなんか言っているよ」程度で流れたと思います。
デメリットを踏まえ、有名企業の中には実は上場していない企業もたくさんあります。
メリットよりもデメリットが多くあると判断した場合、上場を経営の目的としないという判断も有りです。
自社にとって何がメリットで何がデメリットかを見極め、上場するかしないかを判断しましょう。