「経費」「費用」「損金」の違いについて(1)
こんにちは。
Revd Advisory(レヴアドバイザリー)株式会社 代表の湯田平です。
少し前ですが、NHKで多部未華子さん主演のドラマ「これは経費で落ちません!」がアンコール放送されていました。
「経費で落とす」「経費で落ちない」といった言葉は社会人をやっているとよく耳にしますが、「経費」と同じような意味合いの言葉で、「費用」や「損金」などがあります。
これらの違いを皆さまご存知でしょうか?
一社員ならともかく、経営者や経理担当であれば必ず修めておきたい知識です。
今回は「経費」「費用」「損金」の違いについて解説してまいります。
経費を論ずる前に、まず会計について。
会社で使われる会計は1つだけでなく、次の3つの会計があります。
・財務会計
貸借対照表(B/S)、損金計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書など。
・税務会計
法人税申告書、添付書類(B/S、P/L)など。
・管理会計
予実管理表、損金分岐点売上高など。
管理会計は社内の業績の測定や評価に役立てることを目的とした会計で、任意ですので今回は除外して考えていきます。
財務会計は利害関係者に経営状態や財務状況を報告するために用いられる会計。
税務会計は財務会計に含まれる会計で、税金を計算するために用いられる会計になります。
それではこの二つの会計の仕組みを見てみましょう。
・財務会計
利益 = 収益 ー 費用
・税務会計
所得 = 益金 ー 損金
財務会計では「収益」から「費用」を引いたものが、「利益」
税務会計では「益金」から「損金」を引いたものが、「所得」
となります。
それぞれの項目は似て非なるものです。
財務会計上の「収益」「費用」に決められた調整を加えて、税務会計上の「益金」「損金」として「所得」を計算します。
そして肝心の「経費」についてですが、これは財務会計上の「費用」の一部の項目になります。
財務会計上の「経費」が増えると応じて「費用」が増えます。
↓
「費用」のうち損金処理されるものが増えると税務会計上の「損金」が増えます。
↓
「損金」が増えると応じて「所得」が減ります。
そして、「所得」が減ると所得に応じてかかる税金が減る、という仕組みなのです。
ただし注意が必要なのが、経費でも損金処理されないものもあるという点です。
言い換えれば
経費が増えれば必ずしも税金が減るわけではない
ということ。
「これは経費で落ちません!」とは、損金として認められない費用ということなのです。
次回、損金として認められるものと認められないものについて触れていきます。
それでは、今日はこのへんで。
今回のテーマ以外でも、財務に関するお悩みがございましたらぜひ当社までお問い合わせください。