<中小企業の現状>廃業していく黒字企業
こんにちは。
Revd Advisory(レヴアドバイザリー)株式会社 代表の湯田平です。
アメリカ大統領選が佳境を迎え報道もかなり加熱してきておりますが、日本にも確実に影響してくるので決して対岸の火事ではありません。
ただ見守ることしかできないのが歯がゆいですが・・・
やきもきしつつ本題へ。
本年4月に中小企業庁がまとめた「2020年度中小企業白書・小規模企業白書」によると、
廃業する企業の約6割は黒字企業。
さらに廃業していく企業の労働生産性は低くなりがちですが、
生産性が高い企業でも廃業になっているという報告も。
ちなみにこれまで本ブログでは「企業が倒産するときは赤字になったときではなく、現預金が尽きたとき」とお話ししてきましたが、倒産=廃業ではありません。
倒産
金銭的な要因で事業の継続が困難になり、事業を辞めざるを得なくなること。経営破綻も同義。
廃業
経営者が自主的に事業の継続をやめること。
という定義となっております。
さてここで疑問になるのが「なぜ黒字企業なのに廃業していくのか?」という点。
勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、そう。
経営者の高齢化に伴う、後継者不足問題。
2019年のデータですが、まだ後継者が決まっていない企業の割合、いわゆる後継者不在率は55.6%にも及ぶことがわかっています。(東京商工リサーチより)
またそもそも後継者不足について本腰を入れて対策している企業も少なく、「今はまだ事業継承について考えてない」という企業も3割以上の状態。
もちろん会社をたたむも継がせるも売るもすべて経営者の判断ですので野暮なことは言いませんが、一度出口戦略をしっかり立てておくことが重要です。
出口戦略については以下の投稿で解説しております。
しかし裏を返せば、それだけ優良企業がひっそりと消えていくということ。
そこでM&Aが事業継承の一助ともなっています。
オンラインビジネスマッチングが普及し、ここ数年で事業継承のためのM&Aが拡大。
また経済産業省は昨年12月に、親族外の第三者による事業継承を後押しする「第三者承継支援総合パッケージ」というものを発表しました。
他に金融機関によるビジネスマッチングも活発化しており、黒字企業の廃業を阻止すべく国から金融機関までが対応に躍起となっております。
いくつか昨年の数字をもとにお話ししましたが、本年はこのコロナ禍で状況が少し変わってきているのも事実です。
しかし苦しい今だからこそ、想定していなかった企業やサービス、そして人ととつながることにより、想定していなかった出口というものも見えてくるのではないでしょうか。